50近くの手習い ―数学編―

数学を学びなおそうと思い立った47歳の奮闘記です

教科書の選択

5. どの本で勉強するか

微分積分を勉強し直そうと決心し、見回してみると、多数の本が我が家に…

私なりに分類してみると

 [A] 実数の性質などから厳密に述べている本

  [1]高木貞治 『解析概論』(改訂第三版) 岩波書店(1983) 

  [2]寺沢寛一 『自然科学者のための数学概論』 岩波書店(1954)

  [3]杉浦光夫 『解析入門I』 東京大学出版会(1980)

  [4]小平邦彦 『解析入門』 岩波書店(1997)

  [5]笠原晧司 『微分積分学』 サイエンス社(1974)

  [6]小林昭七 『微分積分読本 1変数』 裳華房(2000)

  [7]小林昭七 『微分積分読本 多変数』 裳華房(2001)

  [8]黒田成俊 『微分積分』(共立講座 21世紀の数学) 共立出版(2002)

  [9]河添健 『微分積分学講義I』 数学書房(2009)

  [10]河添健 『微分積分学講義II』 数学書房(2011)

  [11]齋藤正彦 『微分積分学』 東京図書(2006)

  [12]田島一郎 『解析入門』(岩波全書) 岩波書店(1981)

 

 [B]多少厳密性を犠牲にしながらも大きな話の流れを述べたり, 応用を意識している本

  [13]和達三樹 『微分積分』(理工系の数学入門コース1) 岩波書店(1988)

  [14]一松信 『解析学序説 上』 裳華房(1981)

  [15]一松信 『解析学序説 下』 裳華房(2008)

  [16]S. ラング 『解析入門』(原書第3版) 岩波書店(1978)

  [17]S. ラング 『続 解析入門』(原書第2版) 岩波書店(1981)

  [18]薩摩順吉 『微分積分』(理工系の基礎数学1) 岩波書店(2001)

  [19]I.S.ポントリャーギン 『やさしい微積分』(ちくま学芸文庫) 筑摩書房(2008)

  [20]堀川穎二 『新しい解析入門コース 新装版』 日本評論社(2014)

  [21]馬場敬之, 高杉豊 『スバラシク実力がつくと評判の微分積分キャンパス・

             ゼミ』 マセマ(2003)

  [22]真貝寿明 『徹底攻略 微分積分 改訂版』 共立出版(2013) 

 

 [C]計算を通して理解を深めようとする本

  [23]馬場敬之 『はじめから学べると評判の大学基礎数学微分積分キャンパス・

          ゼミ』 マセマ(2017)

  [24]石村園子 『やさしく学べる微分積分』 共立出版(1999)

  [25]石村園子 『改訂版すぐわかる微分積分』 東京図書(2012)

 

まあ, よく集めたねえ, と言いたくなるほどですが, きっとまだあるのです. この数は, 私が微分積分解析学に跳ね返され, 討ち死にした回数でもあるわけです. 再挑戦して返り討ちに合った本も多数あります.

ここまできたら, 数学の才能がないのだろうとあきらめるのも一つなのでしょうが, 往生際悪く, もう一度挑戦をと思っているわけです.

この中で, 私が読めるようになりたいのは, [A]の本たちです. [1]高木先生, [3]杉浦先生の本は大学で勧められた本ですが, 当然のごとく歯が立たなかった本です. いわゆる, 「定義→公理, 前提→定理→証明」の羅列と言われそうな本です. 新しい本は, 行間をかなり埋めてくれている本も多いので, 古典的名著といわれる本よりは, 読みやすくなっているような印象もあります.

[B]の本の中で, 和達先生の本は学生時代に読んだ本です. わかりやすかったという印象ですが, 今から思うと, ほとんど消化できていなかったなあと思う本でもあります. [21]馬場先生, 高杉先生の本は, とっつきやすい感じの本で, 最後まで読み通しましたが, なかなか[A]群の本を読む実力にまではつなげられませんでした. もちろん本の問題ではなく, 分かった気になってしまったからなのでしょう.

また[20]堀川先生の本は, 私が大学に入ったころに, ε-δ論法を扱わないコースができ, そのときの教科書として出版された本でした. 当時の私はナマイキにも, 大学に入ってε-δ論法をやらないなんてと, そのようなコースを選択しなかったので, この本には触れる機会のなかった本です. それが, 先日参加した某講演会で, この本が紹介されていて, 懐かしさもあって, つい購入してしまった本です. まえがきを読むと, 「論理的厳密さを放棄することに積極的意味を見いだそう」という本だったのでした. 

[A]群の本こそ正統などとの思いから, [B]群の本はちょっと[A]群の本より, ちょっと下などと考えていました. それはとんでもない思いちがいだったのです. [B]群の本は, 著者によって, 緻密に話題が選択され, 世界が構成されているようです(まだ, 理解しきれていない…).

しかし, 目標とするなら, 以前からの目標をということで, [A]群の本を読めるようになることを目標に据えようと思います. [B]群の本は, そのような本を用意してくれる先生方がいて初めて読めるものなので, 自分が新しい分野の勉強をしようとなった場合, [A]群のような本が読めないことには, どうにもならない可能性があるためです. 

そこで[A]群から本を選ぼうと思うのですが, [1]高木先生や[3]杉浦先生の本はさすがに厳しそう. 私が, 中学, 高校で使用した教科書が小平邦彦先生編の教科書だったこともあり, [4]小平先生の本を一番読みたいのですが, これも厳しそう. 

これらの本よりも, 説明が多そうで, 行間も広くなさそうな本として, [8]黒田先生, [9]河添先生の本がよさそうな感じがしています. そこで, 

  [8]黒田成俊 『微分積分』(共立講座 21世紀の数学) 共立出版(2002)

  [9]河添健 『微分積分学講義I』 数学書房(2009)

をもとに勉強し直してみようと思います.